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30年以上同じ場所に勤務する市職員の功罪
06.6.25

同じ区役所に30年以上異動がなく、ずっと勤めている職員が平成17年度で472人(区役所全職員の7.7%)もいることがわかった。通常役人は同じ部署に長年いると癒着やほかの部署で仕事をしにくくなることなどから数年で部署を変わるといわれ、その短い期間での異動が大きな問題になってきた。ところが大阪市では何と20年以上、30年以上全く異動がない職員がいるというのだ。これはタウンズメン21が行った情報公開で明らかになった。

これは4年前、平川理事長が住之江区役所を仕事で訪れたときに、窓口でお年寄りにどなっている職員がいたのを見つけた。そのお年寄りは健康保険の件で質問をしにきたのだが、この職員は管轄は国であり我々は窓口業務だけなので「文句があるなら国に聞きにいけ」と乱暴な口調で言っていた。そこで平川理事長が見かねて「もう少し優しく説明してあげたらどうなんだ」と注意するとこの職員は「これでも一番優しくしてるんや。」と言い返してきた。平川理事長が区長を呼ぶように言うと「あんたが呼べ」といわれたことから口論となり、あわててほかの職員らが止めに入る騒ぎになった。結局区長は不在で間に割って入った課長に対し「窓口の対応がなっていない。交代させるべきだ」と指摘するとあわててその職員を窓口からはずした。平川理事長は「あの職員はどれくらいこの職場にいるのか?」と訊ねたところ課長は「20年以上ここにいます」と答えた。驚いた平川理事長は本庁に出向き、どのような職員配置を行っているのかを問いただしたところさらに驚いたことには各区役所の職員の勤務年数を把握した資料がないことがわかった。

すぐに資料を作成させたところ何と平成15年度に大阪市の24全区役所で5年未満で変わっている職員は5割近くいるものの、10年以上20年未満同じ区役所に勤務している職員が1109人(17.9%)20年以上30年未満が923人(14.9%)30年以上は332人(5.4%)もいることがわかった。実はこの資料を見て本庁の職員も驚いていたというからさらに驚かされる。

区役所のトップである区長は基本的には3年間でころころと変わるため20年以上同じ職場にいる課長や課長代理、係長に全く頭があがらない。区長も余計な口をはさんで古株職員とトラブルにでもなれば面倒になると思い、黙認を決め込む。事実上カラ残業を黙認し、組合幹部のヤミ専従を黙認してきた大阪市の裏には、こうした信じられないような歪な人事体制があったのだ。その後もこうした資料を毎年提出させているが、ほとんど状況は変わっていない。

こんなことが許されるのか、まさに怠慢行政のツケがこんにちのさまざまな問題を引き起こしているのは間違いない。30年以上同じ職場に巣くえば、その区役所で一番えらいのは事実上俺だと思い違いをする職員が出るのも当然だ。市民一人一人が市民サービスへの監視を強めていかなければ、勘違い職員の横暴が続くことになる。




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